東野圭吾原作『マスカレード・ホテル』 小説 あらすじとトリックの徹底考察・感想 ※ネタバレあり
あけましておめでとうございます。
今年も良き一年になりますように。
私は年が明けて、プライベートが一段落したのでほっとしています。
小説を読む時間も確保できたので、これからたくさん小説を読んでいきたいです。
さて、年末の話ですが、東野圭吾さんの『マスカレード・ホテル』を読みました。
本屋さんで初めて知ったのですが、来たる1月18日にこの本を原作とした映画が公開されるのですね!!
木村拓哉さんと長澤まさみさんが主演のようですが、小説を読んでめちゃくちゃ適役なお二人だと思いました。(笑)
知人に聞いた話ですが、東野圭吾さんは木村拓哉さんをイメージしてこのお話を作ったという説もあります。
東野圭吾さんの小説にしては、たしかにドラマ的というか、フィクション感の強い物語で、映画のために書き下ろしたのかなーとか考えましたが、内容はやはり東野圭吾さん!といった感じで、とってもとっても面白くて本をめくる手が止まりませんでした。
映画の広告動画も拝見しましたが、原作読んでいても見に行きたくなりました。
金欠なので1月はお預けになりそうですが…
これまでのように本の内容を詳しく書いていたのですが、私は小説が大好きなので、本を一人でも多くの人に手に取ってもらうためにも(誰)、詳細を書くのはやめました!
せっかく著者の方が多大なる時間と労力をかけて完成させたとっても面白い物語を、
才能ナシの私が順を追ってブログで全部説明してしまうって…
すごく申し訳ない気がしてきたので、読んでない人にはわかりづらい(絶対に何を言っているかわからないと思います…すみません)かもしれませんが自分が日記として記録しておきたいところだけ抜粋して記録しておきます。
この記事は、ネタバレを含みます。
一応ネタバレがある場所からはもう一度注意書きさせていただきます。
苦手な方、映画をネタバレなしに楽しみにしている方などいらっしゃいましたら回れ右でよろしくお願いいたします。
あらすじ
都内で起こっている連続殺人事件。
これまでの3つの現場には数字の暗号が置かれており、次の現場は「コルテシア東京」という一流ホテルであることが判明した。
そこで、刑事たちによるホテルでの潜入捜査が決定。事件を未然に防ぎ、犯人を逮捕することが目的である。
頭もキレるがプライドも高い若き刑事、新田浩介はホテルのフロントクラーク(受付)として潜入することに。
その指導役に抜擢されたのが、このホテルでも仕事ぶりが認められている山岸尚美であった。
ホテルの従業員は潜入捜査の事情を詳しくは知らない。
どうしてこのホテルで事件が起こると予想されているか、という点すらも教えてもらっていないのである。
しかし山岸尚美は、新田の担当ということもありホテルの上層部から暗号のことを少しだけ教えてもらった。
ただ、その暗号が数字であるということまでは知らなかった。
潜入捜査が始まった。
新田は、「お客様がルールブック」であり、どんなクレームが入ってもお客様を第一に考えるというホテルマンの姿勢に反感を持っており、また山岸尚美も、刑事特有の新田の目つきや態度をよく思っていなかった。
不審な客が次々と現れる中、二人は事件の渦中の人になっていく――
第1のトリック
1つ目のトリックは電話を使ったものでした。
これは、栗原という人物がホテルに泊まった時に解明されますね。
栗原:新田が高校生の時に、教育実習生として来た英語の先生。帰国子女の新田に英語の発音の差をまざまざと見せつけられたことで、栗原は英語の先生になることをやめる。
トリックのネタバレをみたくない方は「第2のトリック」へ。
第1のトリックネタバレ
このトリックが使われていた事件は第一の事件。
被害者の同僚の手嶋という男と、手嶋の元カノの友達がグルだったという話。
このトリックが解明される前の手嶋のアリバイはこうでした。
被害者の死亡推定時刻の時間帯に、元カノから電話がかかってきた。
元カノと付き合っていた当時は手嶋は固定電話だったので、今回も固定電話に電話がかかってきた。
これは通話記録も残っている。
そして、元カノの証言も、元カノの友達の証言も一致していた。
手嶋の家から殺害現場までは1時間ほどかかり、犯行は不可能なのでアリバイが成立していた。
しかし、真実は次のものでした。
手嶋と元カノの友達がグル。
手順① 元カノの友達(以下 井上)は、元カノ(以下 本多)の家に行ったときに隙を見て
本多の携帯に登録されている手嶋の電話番号を、殺害現場付近に用意した別の番号に書き換える。
そして、元カレへの未練がある本多の気持ちを利用して、手嶋に連絡するようにそそのかし、電話をさせる。
これは少なくとも女性ならわかると思うのですが、友達がいてくれるときに好きな人へのメールの内容を相談しながら送ってしまうやつの電話版です(笑)
電話に出た手嶋は殺害現場近くにいますが、電話している側からはどこにいるかなんてわかりませんよね。
携帯電話に登録した番号をいちいち確認して電話をかけることはそうそうありません。
その心理を利用していたのです。
手順② 書き換えた電話番号を、隙を見て手嶋の家の番号に戻して、もう一度発信する。
手嶋の家の電話では、留守番電話サービスに接続されていたものと思われます。
電話の時間ですが、通話記録は2分、手嶋の証言は5分となっていたことから、手嶋が通話記録の2分という不自然さをごまかすためにわざと長めの時間を言ったものと推測されました。
手順③ 本多が手嶋にかけた偽の場所への発信履歴を消しておく。
これでアリバイ工作は完了です。
結局、警察の捜査によってアリバイが崩れました。
新田の予想通りのアリバイ工作がなされており、消された通話履歴も復元されました。
第2のトリック
第2のトリックは、ミスディレクション的な要素が強いトリックでした。
これには読みながら鳥肌が立ちましたね。
判ってしまえばとても単純なトリックですが、なかなか思いつかないのではないでしょうか。
これは、山岸が有名人のアバンチュールについて話しているときにヒントを得ます。
ここから先はネタバレになります。読みたくない方は、「暗号の解読・犯人は…?」へ。
第2のトリックのネタバレ
じつは、連続殺人事件はそれぞれの事件が全く違う人物によって犯行されていたものだと判明しました。
闇サイトで殺害欲のある人物を募り、この一連の事件を企てたのが「x4」という人物で、これまで3つの事件は「x1」「x2」「x3」という人物によって行われました。
この4人は頻繁にやり取りをしており、そのメールがx2の自宅のパソコンから出てきたことによって、連続殺人事件が1人の犯人による犯行ではないと判明したのです。
つまり、この連続殺人事件には、これから起こるホテルでの事件を含めて4人の犯人がいるということで、4人目の犯人がすべての総括者でした。
新田とその相棒的な位置の能勢刑事はこの連続殺人事件について、おかしな点に気づきます。
1.殺害方法がすべてばらばらであること。
→同一犯による犯行に見せるためには、殺害方法を統一するのが良い。このx4はとても頭がキレる人物であると推測されるため、どうして殺害方法を統一しなかったのか疑問が生じる。
2.x1・x3・x4はネットカフェからメールをやり取りしていたのに対し、x2だけ自宅のパソコンからメールしていたこと。
→x4が全員の犯行を完全犯罪にする(つまり、架空の同一犯による犯行とみせかけ、捜査を攪乱させる)ことを目的とするならば、足取りがつかめてはならないため犯人全員にネットカフェでメールをやり取りするようにまず忠告するはずなのに、それをしていない。わざわざそんな危険なことをする理由がわからない。
これはつまり全員の犯行を同一犯だと思わせることが目的ではない。
むしろ、全員犯人が違うとばれても構わない。
x4の狙いはもっと別のところにある、と新田は推測しました。
以下は新田の推測です。
連続殺人事件の構造が警察にばれることはふつう、犯人にとって不都合なことであるが、ある条件を満たしたときに好都合なことになる。
その条件とは、「x4がもう一つ別の殺害計画を持っていること」である。
x4に殺害したい人物が2人いる場合、単純にその2人を殺害してしまえばすぐにx4が重要参考人として挙げられてしまう。
だから、その2つの事件を警察が結び付けて考えないようにするため、一方の殺人を、全く別の殺人事件と結びつけてしまうという方法をとった。
具体的には、現場に暗号を残すという方法で、警察が連続殺人事件として捜査を進めるようにしむけたということ。
現に連続殺人事件として捜査しているなかの1つの事件は、実は他の所で起きた事件とペアになっているかもしれない―――
このトリックは、山岸が話した有名人のアバンチュールで
「グループで泊まっているうちの誰か一人が、実は別の誰かとカップルだなんて、普通思わない」
という発言から見破られました。
本当に、よくできたトリックですよね…!感動しました。
暗号の解読・犯人は…?
暗号や、気になるx4の正体ですが、ネタバレしませんよ!
ぜひ、自分で予想しながら読んでみてください。
本を読んでも、映画みたくなることまちがいなし!です!!
推理小説が大好きな私も、まんまと騙されました。
読者の意識を完全にそらすのがうまい…!
東野圭吾さん、大好きです。
この物語の前日譚『マスカレード・イブ』も買ってしまいました。
『マスカレード・ナイト』もハード本で出ていますね。
お金をためてハード本で買いたいです。
映画も絶対に面白いと思いますが、
まずは本で読んでほしいです!!
(※お金をもらった本の紹介ブログとか、集英社さんの回し者とかではないです。笑)
理由ですが、
読者の手を止まらせない仕組みが確立されているんです。
何を言っているんだ…?って思うかもしれないのですが、
この後物語が進展する…!!というタイミングで、必ず本をめくるような構成になっているんですよ。
これはどの作家さんも意識しているらしいのでいつも意識して読んでいるのですが、この本は特にそれを感じました。
本当にすごい…感動しました。
すごいメタい話になってたら申し訳ないのですが、本の面白さってこういうところにもあると思うんですよね。
なので、もしお金に余裕がある方、少しでも興味を持っていただけた方はぜひ購入して読んでいただきたい一冊です!
それに、この物語はとても読みやすい本だなと思いました。
本が好きな人はもちろん、苦手な人も、複数の登場人物によってトリックが丁寧に解説されるので理解しやすいのではないかと思います。
最後にもう一度、ニートの味方Amazon様に販売されている『マスカレード・ホテル』のURLを貼っておきますね。
本好きも、苦手な人も楽しめる1冊だと思います!